トップページ > 楽寿園 > 楽寿園の自然 > 楽寿園の樹林(森)
2楽寿園の樹林(森)
園内の地形は、全体として概ね北側が高く南や東南、東側が低くなっており、溶岩の流下してきた方向は、主に北北西からということが分かります。
園内には、いたるところで三島溶岩の露頭が見られますが、標高の最低は、三つの瀬の一つである「はやの瀬」から源兵衛川に合流するところで約26m、最高は北門付近の約40mで、高低差は約14mあります。この高低差は、北側から南側への一様な傾斜面ではなく、3つの段差があります。
最低位をGL1面とし、その上を順にGL2面・GL3面・GL4面として北門と「はやの瀬」の断面を模式的に示すと図のようになります。
最低位のGL1面の溶岩表面は、小浜池・三つの瀬でその末端部は表土や砂礫に埋没して見る事はできませんが、三島市街の中央台地を形成している基盤となっていると考えられます。
溶岩層GL2面の標高は、約28〜30mで楽寿館を乗せています。西側には「常盤の森」、東側には「さぎの森」があり正門へと続いています。
溶岩層GL3面の標高は、約31〜33mでのりもの広場や梅御殿を乗せています。
溶岩層GL4面の標高は、約38〜40mで北門や楽寿園管理事務所を乗せています。
園内の森の面積は約5haです。各所に建造物や池等があり、森はいくつかに分かれております。これらの森には、特別に「小浜の森」「常盤の森」「さぎの森」「天神の森」「万葉の森」等の呼び名を持つところもありますが、調査の都合で下記のように区分しました。
なお、調査を行なった年は、平成13〜15年です
園内には、いたるところで三島溶岩の露頭が見られますが、標高の最低は、三つの瀬の一つである「はやの瀬」から源兵衛川に合流するところで約26m、最高は北門付近の約40mで、高低差は約14mあります。この高低差は、北側から南側への一様な傾斜面ではなく、3つの段差があります。
最低位をGL1面とし、その上を順にGL2面・GL3面・GL4面として北門と「はやの瀬」の断面を模式的に示すと図のようになります。
溶岩層GL2面の標高は、約28〜30mで楽寿館を乗せています。西側には「常盤の森」、東側には「さぎの森」があり正門へと続いています。
溶岩層GL3面の標高は、約31〜33mでのりもの広場や梅御殿を乗せています。
溶岩層GL4面の標高は、約38〜40mで北門や楽寿園管理事務所を乗せています。
園内の森の面積は約5haです。各所に建造物や池等があり、森はいくつかに分かれております。これらの森には、特別に「小浜の森」「常盤の森」「さぎの森」「天神の森」「万葉の森」等の呼び名を持つところもありますが、調査の都合で下記のように区分しました。
なお、調査を行なった年は、平成13〜15年です
- (1) 小浜の森(イ)駅前口を入ったところ
- (2) 小浜の森(ロ)駅前口の東側
(平成14年に取得し、再整備したところ面積4,469.98平方メートル) - (3) 常盤の森 楽寿館の西側
- (4) さぎの森 正門から小浜池東側の渕
- (5) 瀬の周辺 三つの瀬(はやの瀬、中の瀬、せりの瀬)の周辺
- (6) 池の周辺 三つの池(あやめヶ池、みどりヶ池、すずめヶ池)の周辺
- (7) 広場周辺 のりもの広場・どうぶつ広場周辺
- (8) 天神の森 西門の北側
- (9) 万葉の森 万葉歌に詠われた植物の植栽地
(1) 小浜の森(イ)(表1参照)
この森の樹木は、溶岩層GL4岩上とその下のGL3岩上に生育しています。
駅前口から南側にある各施設等に通ずる園路が林中に作られているので、各樹木のようすを容易に観察できます。
多い樹種は、アラカシ、イロハモミジ、ヒサカキ、クヌギ、ヒメユズリハ等であり、全体としては約40余種生育している混種林です。
広葉樹がほとんどですが、常緑樹と落葉樹の混成林です(暖帯林と温帯林)。
したがって、林中へは落葉後の冬期にこぼれ日が入りますが、繁茂期には日射量は僅少で、林床には下草がほとんどありません。
林中の樹木は密で生存競争が激しく、各樹木とも下部の枝は、順次枯れ落ちてしまいます。幹は単直幹で各樹種特有の姿は見られません。高木として、クヌギ、ケヤキ、ムクノキ等があり、樹高は約20m前後で林冠がほぼ同じです。
中低木種はヒサカキ、アオキ、カマツカ、イヌビワ等があり、樹勢は良いです。
大木は南側にあるセンダンとエノキです。特徴としては、海岸に自生することが多いヒメユズリハの実生樹が多く生育していることです。
また、暖帯によく生育するカゴノキ(雌雄異株)が数本あり、樹皮が平滑で淡紫色、黒色の鹿子斑をみせているのが興味深いところです。
表1 小浜の森(イ)
駅前口から南側にある各施設等に通ずる園路が林中に作られているので、各樹木のようすを容易に観察できます。
多い樹種は、アラカシ、イロハモミジ、ヒサカキ、クヌギ、ヒメユズリハ等であり、全体としては約40余種生育している混種林です。
広葉樹がほとんどですが、常緑樹と落葉樹の混成林です(暖帯林と温帯林)。
したがって、林中へは落葉後の冬期にこぼれ日が入りますが、繁茂期には日射量は僅少で、林床には下草がほとんどありません。
林中の樹木は密で生存競争が激しく、各樹木とも下部の枝は、順次枯れ落ちてしまいます。幹は単直幹で各樹種特有の姿は見られません。高木として、クヌギ、ケヤキ、ムクノキ等があり、樹高は約20m前後で林冠がほぼ同じです。
中低木種はヒサカキ、アオキ、カマツカ、イヌビワ等があり、樹勢は良いです。
大木は南側にあるセンダンとエノキです。特徴としては、海岸に自生することが多いヒメユズリハの実生樹が多く生育していることです。
また、暖帯によく生育するカゴノキ(雌雄異株)が数本あり、樹皮が平滑で淡紫色、黒色の鹿子斑をみせているのが興味深いところです。
表1 小浜の森(イ)
樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | ||||
1 | アラカシ | 28 | 14 | モチノキ | 4 | 22 | イヌツゲ | 2 | 32 | トベラ | 1 |
2 | イロハモミジ | 26 | 14 | マダケ | 4 | 32 | ハゼノキ | 1 | 32 | キンモクセイ | 1 |
3 | ヒサカキ | 21 | 18 | クリ | 3 | 32 | ツルグミ | 1 | 32 | モミ(枯) | 1 |
4 | クヌギ | 12 | 18 | アオキ | 3 | 32 | アカマツ | 1 | 32 | ネムノキ(枯) | 1 |
5 | ヒメユズリハ | 11 | 18 | ヤブニッケイ | 3 | 32 | カマツカ | 1 | |||
6 | コナラ | 10 | 18 | イヌマキ | 3 | 32 | ヤマブキ | 1 | |||
7 | エノキ | 8 | 22 | サザンカ | 2 | 32 | コノテガシワ | 1 | |||
8 | カゴノキ | 7 | 22 | イタジイ | 2 | 32 | アケビ | 1 | |||
9 | ケヤキ | 6 | 22 | イヌビワ | 2 | 32 | アカメガシワ | 1 | |||
9 | クロマツ | 6 | 22 | カキ | 2 | 32 | ヤマフジ | 1 | |||
9 | クスノキ | 6 | 22 | シュロ | 2 | 32 | ヤダケ | 1 | |||
12 | ヤマザクラ | 5 | 22 | ウツギ | 2 | 32 | マユミ | 1 | |||
12 | ヤブツバキ | 5 | 22 | シロダモ | 2 | 32 | ムラサキシキブ | 1 | |||
14 | センダン | 4 | 22 | ツツジ | 2 | 32 | サルスベリ | 1 | |||
14 | ムクノキ | 4 | 22 | ツツジ(植え込み) | 2 | 計 | (48種) | 216 |
(2) 小浜の森(ロ)(表2参照)
小浜の森(イ)の東側で標高約40mのGL4溶岩層上で、表土が僅少で植物の生育条件としては苛酷なところです。
平成14年に取得し、整備した4,469.98平方メートル(1,352坪)の区域です。
高木は、園路の南側でコナラが多いが、幹が低く模様風であり他の所のものより樹高が低いです。
低木としては、カマツカの実生樹が数多く生育し、地表面には苔類のムクムクが全面を覆い柔らかい緑で、特有の趣きを感じさせてくれる区域であり、このような区域は他にはありません。
また、この区域には枯死したクロマツの大木の株跡が多数残っています。かつては、松籟も聴くことができたでしょう。
この近くにある溶岩塚の断崖には、ハゼノキが生育しておりこの根が溶岩の縦の裂溝へ潜入しています。
地中の水を求める厳しさが見られ、大変興味深い観察ができます。園路の北側には裂溝岩塊が多数あり、高木はやはりコナラが主です。溶岩塚もあってアカマツの大木が一本あります。
ここの中低木としては、ヒサカキが密生しており、カマツカも多く見られます。地表面にムクムクが密生しているのは南側と同じです。
表2 小浜の森(ロ)
平成14年に取得し、整備した4,469.98平方メートル(1,352坪)の区域です。
高木は、園路の南側でコナラが多いが、幹が低く模様風であり他の所のものより樹高が低いです。
低木としては、カマツカの実生樹が数多く生育し、地表面には苔類のムクムクが全面を覆い柔らかい緑で、特有の趣きを感じさせてくれる区域であり、このような区域は他にはありません。
また、この区域には枯死したクロマツの大木の株跡が多数残っています。かつては、松籟も聴くことができたでしょう。
この近くにある溶岩塚の断崖には、ハゼノキが生育しておりこの根が溶岩の縦の裂溝へ潜入しています。
地中の水を求める厳しさが見られ、大変興味深い観察ができます。園路の北側には裂溝岩塊が多数あり、高木はやはりコナラが主です。溶岩塚もあってアカマツの大木が一本あります。
ここの中低木としては、ヒサカキが密生しており、カマツカも多く見られます。地表面にムクムクが密生しているのは南側と同じです。
表2 小浜の森(ロ)
樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | ||||
1 | イロハモミジ | 50 | 12 | キンモクセイ | 5 | 22 | ヤブニッケイ | 1 | 22 | ウメ | 1 |
2 | ヒサカキ | 49 | 12 | サザンカ | 5 | 22 | ヒイラギ | 1 | 22 | アカメガシワ | 1 |
3 | コナラ | 44 | 12 | モチノキ | 5 | 22 | ヒャクジッコウ | 1 | 22 | カナメモチ | 1 |
4 | イヌマキ(垣根) | 40 | 16 | サカキ | 4 | 22 | ドウダンツツジ | 1 | |||
5 | カマツカ | 30 | 17 | タブノキ | 3 | 22 | トベラ | 1 | |||
6 | アラカシ | 20 | 17 | ハゼノキ | 3 | 22 | ハナノキ | 1 | |||
7 | シラカシ(垣根含む) | 18 | 17 | アカマツ | 3 | 22 | タラノキ | 1 | |||
8 | ツバキ | 17 | 20 | ヤマザクラ | 2 | 22 | ケヤキ | 1 | |||
9 | ヒメユズリハ | 11 | 20 | マユミ | 2 | 22 | クスノキ | 1 | |||
10 | アオキ | 8 | 22 | クチナシ | 1 | ||||||
11 | イヌビワ | 6 | 22 | カキ | 1 | ||||||
12 | エノキ | 5 | 22 | オガタマノキ | 1 | 計 | (36種) | 345 |
(3) 常盤の森(表3参照)
この森は、主に楽寿館の西側の「国の天然記念物及び名勝」に指定された区域で、GL2面の溶岩塚上に生育している樹木が繁茂しています。樹種で30数種あり、本数の多いものはイロハモミジ、アラカシ等です。
溶岩丘上を占有している樹種は、イタジイ、クスノキの広葉樹とイヌマキの針葉樹です。共に常緑樹であるため、林床の日射量は年間を通じて少なく、樹下の中低木と下草の生育が悪いです。この森の南側は小浜池に接して、樹高の高いケヤキの大木が樹勢よく生育しています。
この樹木の枝葉は、四季を通じて池面に映りよい景観をつくっています。
この森の楽寿館西側には、10数本のナギの成木と生育途中の実生樹の純林があり樹勢は良好です。このナギは暖かいところに自生する種であるので、移植されたものであると思われます。ナギは裸子植物ですが、広葉で平行脈があり、進化の中途形質をもつ「生きている化石」としても興味深い樹種です。
また、天然記念物及び名勝区域の中門近くの園路脇にある溶岩上に生育しているイロハモミジ等の根元(根張り)のようすが、「座」しているように見える「岩上座相樹」は、ある種の趣きを感じさせてくれます。
この地としては珍しい種のコウヨウザン(広葉杉)がスギと並んで生育しています。樹形、樹皮、根張り、枝張り等がよく似ていますが、葉の様子が異なっていることが観察できます。
これも植物の進化を考えさせてくれる樹木です。
表3 常盤の森
溶岩丘上を占有している樹種は、イタジイ、クスノキの広葉樹とイヌマキの針葉樹です。共に常緑樹であるため、林床の日射量は年間を通じて少なく、樹下の中低木と下草の生育が悪いです。この森の南側は小浜池に接して、樹高の高いケヤキの大木が樹勢よく生育しています。
この樹木の枝葉は、四季を通じて池面に映りよい景観をつくっています。
この森の楽寿館西側には、10数本のナギの成木と生育途中の実生樹の純林があり樹勢は良好です。このナギは暖かいところに自生する種であるので、移植されたものであると思われます。ナギは裸子植物ですが、広葉で平行脈があり、進化の中途形質をもつ「生きている化石」としても興味深い樹種です。
また、天然記念物及び名勝区域の中門近くの園路脇にある溶岩上に生育しているイロハモミジ等の根元(根張り)のようすが、「座」しているように見える「岩上座相樹」は、ある種の趣きを感じさせてくれます。
この地としては珍しい種のコウヨウザン(広葉杉)がスギと並んで生育しています。樹形、樹皮、根張り、枝張り等がよく似ていますが、葉の様子が異なっていることが観察できます。
これも植物の進化を考えさせてくれる樹木です。
表3 常盤の森
樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | ||||
1 | イロハモミジ | 25 | 10 | モミノキ | 5 | 19 | サザンカ | 2 | 25 | キンモクセイ | 1 |
1 | アラカシ | 25 | 12 | ヤブツバキ | 4 | 19 | カラスノサンショウ | 2 | 25 | イヌガヤ | 1 |
3 | ケヤキ | 12 | 12 | ハゼノキ | 4 | 19 | モッコク | 2 | 25 | タイサンボク | 1 |
3 | イタジイ | 12 | 12 | ナギ | 4 | 19 | マテバシイ | 2 | 25 | イチョウ | 1 |
5 | イヌマキ | 10 | 15 | ネムノキ | 3 | 25 | サンゴジュ | 1 | 25 | クリ | 1 |
6 | ヒノキ | 8 | 15 | モウソウチク | 3 | 25 | カキ | 1 | 25 | ヤマザクラ | 1 |
7 | クスノキ | 6 | 15 | コウヨウザン | 3 | 25 | ヒイラギ | 1 | 25 | サカキ | 1 |
7 | スギ | 6 | 15 | ヒサカキ | 3 | 25 | アカマツ | 1 | 25 | クヌギ | 1 |
7 | モチノキ | 6 | 19 | ムクノキ | 2 | 25 | カゴノキ | 1 | |||
10 | コナラ | 5 | 19 | センダン | 2 | 25 | アオキ | 1 | 計 | (38種) | 170 |
(4) さぎの森(表4参照)
この森は、園の東側にある正門と小浜池の東側の渕までの区間にあり、GL2面上に生育している樹木で形づくられています。
この区域には、正門から北寄りに楽寿館前へ通ずる園路と、正門から南寄りに小浜池の東側を経て“小松の堤”に通じる園路があります。
この森で数の多い高木は、ケヤキで50本余で特に南側に大木が多く、ケヤキとともに空間を比較的広くとり、直幹で最優占樹となっています。
この西側の域には、大小のクスノキが、約10本あり樹勢がよいです。これ等ケヤキ、クスノキの樹下は地下水位が高いのですが、中低木がほとんどなく林床には、オカメザサが密生しています。
二つの園路に挟まれた域には、スダジイ(一般にシイ)の大木が10本余生育しており、樹勢は良好なものが多いです。中には樹齢が300年以上の古木があり、幹の樹皮にはいくつかの縦裂が生じ、下部の大枝は枯死し、上部の枝も元気がありません。
また、この域には中層木としてヤブツバキ約50本と多数のアラカシとヤブニッケイの実生樹があり、常緑広葉樹林相をつくっています。
林床への日射量は少ないですが、園路の所々にイロハモミジ、ヒノキ、ムクノキ等の高木の広葉落葉樹もあり、冬期にはこぼれ日が入るので明るいです。
この森で珍しい樹種は正門付近にあるトネリコで数本あります。樹高が20m余あり、幹は直幹で葉はケヤキに似ていますが、葉身の幅が広く落葉樹で、樹勢は良好です。
また、正門の木戸前にあるケヤキは、溶岩の上に座しているように生育しているので、岩上座相樹の代表といえます。園内にはこのような相樹が数多くあります。
この域の北寄りの園路の中程にあるブリスター近くには、カゴノキの岩上座相樹が容姿よく生育しています。
表4 さぎの森
更に、この森の西側の小浜池近くに生育しているアカマツは「いこいの松」ともいわれ、園内一の名木で付近は景勝地となっています。
アカマツの樹形は、単生で直幹、根まわりは約3m、目通り約2m、樹高は約10m弱です。
四方への枝張りは釣り合いがとれ、樹齢約350年です。よく見ると、このアカマツは、溶岩上の表土の少ない所に実生樹としてはえ、根は溶岩の割れ目より地下水等を求めて潜入しています。幹の下部の樹皮はやや厚く、亀甲状に割れています。中・上部の樹皮はアカマツ特有の緋色に近くきれいです。このアカマツは、この森の西側の縁で生育しており、多量の日射量を受けているのでよく成長し、樹姿は落ち着きを与え賞賛に値します。
この区域には、正門から北寄りに楽寿館前へ通ずる園路と、正門から南寄りに小浜池の東側を経て“小松の堤”に通じる園路があります。
この森で数の多い高木は、ケヤキで50本余で特に南側に大木が多く、ケヤキとともに空間を比較的広くとり、直幹で最優占樹となっています。
この西側の域には、大小のクスノキが、約10本あり樹勢がよいです。これ等ケヤキ、クスノキの樹下は地下水位が高いのですが、中低木がほとんどなく林床には、オカメザサが密生しています。
二つの園路に挟まれた域には、スダジイ(一般にシイ)の大木が10本余生育しており、樹勢は良好なものが多いです。中には樹齢が300年以上の古木があり、幹の樹皮にはいくつかの縦裂が生じ、下部の大枝は枯死し、上部の枝も元気がありません。
また、この域には中層木としてヤブツバキ約50本と多数のアラカシとヤブニッケイの実生樹があり、常緑広葉樹林相をつくっています。
林床への日射量は少ないですが、園路の所々にイロハモミジ、ヒノキ、ムクノキ等の高木の広葉落葉樹もあり、冬期にはこぼれ日が入るので明るいです。
この森で珍しい樹種は正門付近にあるトネリコで数本あります。樹高が20m余あり、幹は直幹で葉はケヤキに似ていますが、葉身の幅が広く落葉樹で、樹勢は良好です。
また、正門の木戸前にあるケヤキは、溶岩の上に座しているように生育しているので、岩上座相樹の代表といえます。園内にはこのような相樹が数多くあります。
この域の北寄りの園路の中程にあるブリスター近くには、カゴノキの岩上座相樹が容姿よく生育しています。
写真(さぎの森) | |
表4 さぎの森
樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | ||||
1 | ケヤキ | 53 | 11 | エノキ | 8 | 16 | ウメ | 3 | 30 | ツルグミ | 1 |
2 | ヤブツバキ | 47 | 12 | コナラ | 6 | 16 | イヌマキ | 3 | 30 | イヌツゲ | 1 |
3 | イロハモミジ | 27 | 13 | クヌギ | 5 | 16 | ヤマザクラ | 3 | 30 | センダン | 1 |
4 | シイ | 14 | 14 | ツツジ | 4 | 24 | キャラボク | 2 | 30 | アオギリ | 1 |
5 | アラカシ | 13 | 14 | ヤブニッケイ | 4 | 24 | イタヤカエデ | 2 | 30 | イヌビワ | 1 |
6 | ムクノキ | 12 | 16 | モチノキ | 3 | 24 | カキ | 2 | 30 | トベラ | 1 |
7 | クスノキ | 11 | 16 | トネリコ | 3 | 24 | ヒサカキ | 2 | 30 | サザンカ | 1 |
8 | アカマツ | 9 | 16 | チャ | 3 | 24 | オオモミジ | 2 | |||
8 | クロマツ | 9 | 16 | ウツギ | 3 | 24 | カゴノキ | 2 | |||
8 | ハゼノキ | 9 | 16 | カナメモチ | 3 | 24 | イヌガヤ | 1 | 計37種 | 275 |
更に、この森の西側の小浜池近くに生育しているアカマツは「いこいの松」ともいわれ、園内一の名木で付近は景勝地となっています。
アカマツの樹形は、単生で直幹、根まわりは約3m、目通り約2m、樹高は約10m弱です。
四方への枝張りは釣り合いがとれ、樹齢約350年です。よく見ると、このアカマツは、溶岩上の表土の少ない所に実生樹としてはえ、根は溶岩の割れ目より地下水等を求めて潜入しています。幹の下部の樹皮はやや厚く、亀甲状に割れています。中・上部の樹皮はアカマツ特有の緋色に近くきれいです。このアカマツは、この森の西側の縁で生育しており、多量の日射量を受けているのでよく成長し、樹姿は落ち着きを与え賞賛に値します。
写真(アカマツ) | |
(5) 瀬の周辺(表5参照)
小浜池に湧き水を湛えるためにつくられた石積みを主とする高さ約2m、長さ70m、幅3mの堰堤“小松の堤”と、この下を潜り抜けて南側に流出した水をゆるやかに源兵衛川へと流下させるために工夫された瀬を区分する高さ約1m、幅約3mの2つの畦畔があります。共に回遊する園路を兼ねています。
ここの表土は少ないが、縁に樹木を工夫して植えてあります。
「小松の堤」には、背丈が高くならないクロマツ、アカマツ、ウメ、エノキ、イロハモミジ等が植栽してあります。
「せりの瀬」と「中の瀬」の畦畔にはケヤキ、ハゼノキ、ムクノキ等、「中の瀬」と「はやの瀬」の畦畔にはハゼノキ、イロハモミジ、ムクノキ、シダレヤナギ等があります。
「はやの瀬」と「お茶水」の境は溶岩の露頭が形作っていますが、ヤブツバキ、ケヤキ、ムクノキ等の実生樹が生育しています。
南側の源兵衛川と民地との境界付近には、ケヤキ、クスノキ、エノキ、ムクノキ等が生育していて樹勢もよいです。これ等の樹木は、春から秋までは緑陰をつくり、各々の瀬の水と共に潤いのある風情を与えてくれます。
小浜池の東側に「おきな島」があり、ハゼノキ、ケヤキ等の実生樹のほか藤棚は、趣きを添えています。池の中央近くに溶岩塚である中の島と宮島があります。
宮島には、広瀬神社の祠があり、祭神は倉稲尾魂命
で小浜池の主神です。
ここにはクスノキ、ハゼノキ、モチノキ、イヌマキ等が生育しています。
表5 瀬の池付近
ここの表土は少ないが、縁に樹木を工夫して植えてあります。
「小松の堤」には、背丈が高くならないクロマツ、アカマツ、ウメ、エノキ、イロハモミジ等が植栽してあります。
「せりの瀬」と「中の瀬」の畦畔にはケヤキ、ハゼノキ、ムクノキ等、「中の瀬」と「はやの瀬」の畦畔にはハゼノキ、イロハモミジ、ムクノキ、シダレヤナギ等があります。
「はやの瀬」と「お茶水」の境は溶岩の露頭が形作っていますが、ヤブツバキ、ケヤキ、ムクノキ等の実生樹が生育しています。
南側の源兵衛川と民地との境界付近には、ケヤキ、クスノキ、エノキ、ムクノキ等が生育していて樹勢もよいです。これ等の樹木は、春から秋までは緑陰をつくり、各々の瀬の水と共に潤いのある風情を与えてくれます。
小浜池の東側に「おきな島」があり、ハゼノキ、ケヤキ等の実生樹のほか藤棚は、趣きを添えています。池の中央近くに溶岩塚である中の島と宮島があります。
宮島には、広瀬神社の祠があり、祭神は
ここにはクスノキ、ハゼノキ、モチノキ、イヌマキ等が生育しています。
表5 瀬の池付近
樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | ||||
1 | エノキ | 14 | 9 | イヌマキ | 4 | 18 | イボタノキ | 1 | 18 | ニセアカシア | 1 |
2 | ムクノキ | 11 | 12 | サクラ | 3 | 18 | ハンノキ | 1 | 18 | ネズミモチ | 1 |
3 | ハゼノキ | 11 | 13 | ヤブツバキ | 2 | 18 | ヤブニッケイ | 1 | 18 | マサキ | 1 |
4 | ケヤキ | 9 | 13 | シュロ | 2 | 18 | シイ | 1 | |||
5 | イロハモミジ | 6 | 13 | ヤマモモ | 2 | 18 | ツツジ | 1 | |||
6 | ウメ | 5 | 13 | アラカシ | 2 | 18 | ザクロ | 1 | |||
6 | クロマツ | 5 | 13 | ヤマフジ | 2 | 18 | ヤマハギ | 1 | |||
6 | モチノキ | 5 | 18 | クヌギ | 1 | 18 | クロガネモチ | 1 | |||
9 | クスノキ | 4 | 18 | オオモミジ | 1 | 18 | トネリコ | 1 | |||
9 | アカマツ | 4 | 18 | シダレヤナギ | 1 | 18 | チャ | 1 | 計 | 33種 | 107 |
(6) あやめヶ池・みどりヶ池・すずめヶ池周辺(表6参照)
慶応年間、千貫樋へ流下させる「宮さんの川」(蓮沼川)の出水口に架けられた、三景橋付近から楽寿園の西側にある郷土資料館地先までの区域です。
森の中には、郷土資料館の西側にある「万葉の森」からの湧水を利用してつくられた三つの池があり、西からすずめヶ池、みどりヶ池、あやめヶ池の順に小さなせせらぎで繋がっており、小浜池に注がれています。これらの池は水がいつもあるので、渡り鳥の休憩地になっています。
三景橋を渡ると、園路の両側にクスノキの大木が数多く見られ、樟脳の微香がすがすがしく私たちを健康にしてくれると思います。
あやめヶ池近辺の樹下には、中低木としてヒサカキ、サンゴジュ、ヤブツバキ等の常緑樹が生育していますが、林床にはほとんど下草はありません。クスノキは、広葉常緑樹で暖帯によく生育します。この域にある大木30本は、いずれも樹勢が良好です。樹高は約25mで空間が高いので、各池は、これ等クスノキの樹下にあることになります。
クスノキの一枚一枚の葉の色が、明るい黄緑色で艶があるため、日射をよく反射して、樹下は比較的明るいです。
あやめヶ池の南側の園路脇には、ヤマザクラの園内随一の大木があります。幹は、根元から北方向に傾いていますが樹勢はよいです。開花期には、多数の花がやさしさを与えてくれます。
みどりヶ池の北側には、楽寿燈籠があります。この近くにケヤキの大木1本とイヌマキの大木1本があります。この付近からは「常盤の森」の南西部を見ることができます。近くにマテバシイやアラカシの岩上座相樹を見ることができます。各池の岸に植栽されたイロハモミジがあります。紅葉は常緑樹の大木の樹下で あるため、やさしさを感じさせてくれます。
マテバシイ種子は、コナラの種子に似て細長いですが、大きいので落下の時期には、楽しい拾い物となり食用にもなります。
表6 あやめヶ池・みどりヶ池・すずめヶ池周辺
森の中には、郷土資料館の西側にある「万葉の森」からの湧水を利用してつくられた三つの池があり、西からすずめヶ池、みどりヶ池、あやめヶ池の順に小さなせせらぎで繋がっており、小浜池に注がれています。これらの池は水がいつもあるので、渡り鳥の休憩地になっています。
三景橋を渡ると、園路の両側にクスノキの大木が数多く見られ、樟脳の微香がすがすがしく私たちを健康にしてくれると思います。
あやめヶ池近辺の樹下には、中低木としてヒサカキ、サンゴジュ、ヤブツバキ等の常緑樹が生育していますが、林床にはほとんど下草はありません。クスノキは、広葉常緑樹で暖帯によく生育します。この域にある大木30本は、いずれも樹勢が良好です。樹高は約25mで空間が高いので、各池は、これ等クスノキの樹下にあることになります。
クスノキの一枚一枚の葉の色が、明るい黄緑色で艶があるため、日射をよく反射して、樹下は比較的明るいです。
あやめヶ池の南側の園路脇には、ヤマザクラの園内随一の大木があります。幹は、根元から北方向に傾いていますが樹勢はよいです。開花期には、多数の花がやさしさを与えてくれます。
みどりヶ池の北側には、楽寿燈籠があります。この近くにケヤキの大木1本とイヌマキの大木1本があります。この付近からは「常盤の森」の南西部を見ることができます。近くにマテバシイやアラカシの岩上座相樹を見ることができます。各池の岸に植栽されたイロハモミジがあります。紅葉は常緑樹の大木の樹下で あるため、やさしさを感じさせてくれます。
マテバシイ種子は、コナラの種子に似て細長いですが、大きいので落下の時期には、楽しい拾い物となり食用にもなります。
写真(みどりヶ池) |
表6 あやめヶ池・みどりヶ池・すずめヶ池周辺
樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | ||||
1 | クスノキ | 30 | 9 | サザンカ | 3 | 18 | ムクノキ | 1 | |||
2 | イロハモミジ | 14 | 9 | サンゴジュ | 3 | 18 | イタジイ | 1 | |||
3 | アラカシ | 13 | 9 | ヤマザクラ | 3 | 18 | マテバシイ | 1 | |||
4 | ヒノキ | 10 | 9 | ヤブツバキ | 3 | 18 | ヤブニッケイ | 1 | |||
5 | ケヤキ | 8 | 14 | ヤマモモ | 2 | 18 | ソメイヨシノ | 1 | |||
5 | ヒサカキ | 8 | 14 | モチノキ | 2 | 18 | クヌギ | 1 | |||
7 | エノキ | 5 | 14 | トベラ | 2 | 18 | シラカシ | 1 | |||
8 | イヌマキ | 4 | 18 | スギ | 2 | 18 | マユミ | 1 | |||
9 | ハゼノキ | 3 | 18 | シュロ | 1 | 18 | センダン | 1 | 計 | 27種 | 125 |
写真(あやめヶ池) | 写真(すずめヶ池) |
(7) のりもの広場・どうぶつ広場周辺(表7参照)
溶岩層GL2とGL3に生育している樹木です。諸施設をつくるために、盛土をしたり、削りとったところも多くあり、自然の地形が変っているところが多いです。
樹木は、施設に合わせて植裁したものが数多くあります。往時からの実生樹の多くは、大木になって残っているので、観察には好資料となります。
植栽樹としては、主に遊園地付近のソメイヨシノ20本余と、食堂の南から「鯉の池」地先に見られるイロハモミジです。春のソメイヨシノの花、秋のイロハモミジの紅葉は、愛でるのに十分な価値があります。
自然の生育樹としては、動物園舎近くのクロマツ、ハリギリ、モチノキ、エノキ、「のりもの広場」の線路脇のクヌギ等と、「鏡の家」近くのケヤキがあります。
これ等は、何れも老壮相を示していますが樹勢は良好です。
表7 のりもの広場・どうぶつ広場周辺
樹木は、施設に合わせて植裁したものが数多くあります。往時からの実生樹の多くは、大木になって残っているので、観察には好資料となります。
植栽樹としては、主に遊園地付近のソメイヨシノ20本余と、食堂の南から「鯉の池」地先に見られるイロハモミジです。春のソメイヨシノの花、秋のイロハモミジの紅葉は、愛でるのに十分な価値があります。
自然の生育樹としては、動物園舎近くのクロマツ、ハリギリ、モチノキ、エノキ、「のりもの広場」の線路脇のクヌギ等と、「鏡の家」近くのケヤキがあります。
これ等は、何れも老壮相を示していますが樹勢は良好です。
樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | ||||
1 | ソメイヨシノ | 21 | 15 | シラカシ | 3 | 22 | センダン | 2 | 33 | ハゼノキ | 1 |
2 | イロハモミジ | 19 | 15 | シュロ | 3 | 22 | アオキ | 2 | |||
3 | ケヤキ | 18 | 15 | クスノキ | 3 | 33 | セイヨウナシ | 1 | |||
4 | ヒサカキ | 11 | 15 | ヒノキ | 3 | 33 | アセビ(植え込み) | 1 | |||
5 | カイヅカイブキ | 11 | 15 | ハリギリ | 3 | 33 | サツキ(植え込み) | 1 | |||
6 | エノキ | 10 | 15 | ウメ | 3 | 33 | イボタノキ | 1 | |||
7 | クヌギ | 7 | 22 | アカマツ | 2 | 33 | ヤマブキ | 1 | |||
8 | ヤブツバキ | 6 | 22 | ヤマモモ | 2 | 33 | メダケ | 1 | |||
9 | エンジュ | 5 | 22 | イチョウ | 2 | 33 | マサキ(植え込み) | 1 | |||
9 | アラカシ | 5 | 22 | カキ | 2 | 33 | オオシマザクラ | 1 | |||
9 | ムクゲ | 5 | 22 | ミズキ | 2 | 33 | アカシデ | 1 | |||
12 | ツツジ(植え込み) | 4 | 22 | クリ | 2 | 33 | ムラサキシキブ | 1 | |||
12 | ヒマラヤスギ | 4 | 22 | ネムノキ | 2 | 33 | ヒイラギ | 1 | |||
12 | クロマツ | 4 | 22 | アカメガシワ | 2 | 33 | ムクノキ | 1 | |||
15 | モチノキ | 3 | 22 | ヤマザクラ | 2 | 33 | サザンカ | 1 | 計 | (46種) | 187 |
(8) 天神の森 (表8参照)
園の最も西側に位置しています。溶岩層GL3の小高い尾根の域で、溶岩の露頭が多数見られます。森の北側に天神社の祠があります。園路は尾根上を南北に通じていますが、東側の斜面はやや急で「万葉の森」の低地に接しています。
樹木は30種余ありますが、高木層を作っているのは、ムクノキ(13本)、クスノキ (13本)、クヌギ(7本)、エノキ(5本)、シイ(5本)等で、樹高は、約20〜25mで樹勢がよいです。
ヤブツバキが最多数木(25本)です。大部分が中低木ですが、この他イヌビワ、ヒサカキ等があります。森全体として広葉樹林ですが、常緑樹と落葉樹の混成森です。しかし、クスノキ、シイ、タブノキ等の大木の占有率が大きいので年間を通して、林床への日射量は少なく、下草の生育も少ないです。
また、林中には岩上座相樹が数多くあります。
表8 天神の森
樹木は30種余ありますが、高木層を作っているのは、ムクノキ(13本)、クスノキ (13本)、クヌギ(7本)、エノキ(5本)、シイ(5本)等で、樹高は、約20〜25mで樹勢がよいです。
ヤブツバキが最多数木(25本)です。大部分が中低木ですが、この他イヌビワ、ヒサカキ等があります。森全体として広葉樹林ですが、常緑樹と落葉樹の混成森です。しかし、クスノキ、シイ、タブノキ等の大木の占有率が大きいので年間を通して、林床への日射量は少なく、下草の生育も少ないです。
また、林中には岩上座相樹が数多くあります。
写真(天神の森) | |
表8 天神の森
樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | 樹種 | 本数 | ||||
1 | ヤブツバキ | 25 | 11 | ケヤキ | 3 | 20 | カマツカ | 1 | 20 | コナラ | 1 |
2 | ムクノキ | 13 | 11 | イヌビワ | 3 | 20 | ムラサキシキブ | 1 | 20 | ネムノキ | 1 |
2 | クスノキ | 13 | 11 | カゴノキ | 3 | 20 | ミズキ | 1 | 20 | カツラ | 1 |
4 | クヌギ | 7 | 11 | サンゴジュ | 3 | 20 | クロガネモチ | 1 | 20 | ソメイヨシノ | 1 |
5 | エノキ | 5 | 11 | サカキ | 3 | 20 | アオキ | 1 | 20 | イヌガシ | 1 |
5 | アラカシ | 5 | 16 | モチノキ | 2 | 20 | アカガシ | 1 | |||
5 | ヒサカキ | 5 | 16 | ムクゲ | 2 | 20 | ウメ | 1 | |||
5 | シイ | 5 | 16 | トベラ | 2 | 20 | マユミ | 1 | |||
5 | イロハモミジ | 5 | 16 | ハゼノキ | 2 | 20 | ハリギリ | 1 | |||
10 | サザンカ | 4 | 20 | シラカシ | 1 | 20 | キリ | 1 | 計 | (35種) | 126 |
(9) 万葉の森 (表9参照)
どうぶつ広場南側平地の溶岩層GL2を利用して昭和49年(1974年)に造成されました。
広さは約4,000平方メートル(約1,212坪)で、万葉集に歌われている植物約180種のうち、この地で植栽可能な草本類52種、木本類72種(計124種)を集めてあります。
各々の植物の傍に例歌を墨書した木の立札を添えてあります。万葉歌人の意に思いを巡らしながら観察すると、新しい知見を得る事が多く楽しい限りです。
ただし、万葉の植物名と現代植物名と同一のものは少なく、異説が数多くあるものは有力種を充ててあります。
また、植物は毎年成長し、生存競争も絶えず行なわれています。病虫害もあるので、観察が不適切にならないように意を尽くしています。
表9 万葉の森(草本類)
表9つづき 万葉の森(木本類)
広さは約4,000平方メートル(約1,212坪)で、万葉集に歌われている植物約180種のうち、この地で植栽可能な草本類52種、木本類72種(計124種)を集めてあります。
各々の植物の傍に例歌を墨書した木の立札を添えてあります。万葉歌人の意に思いを巡らしながら観察すると、新しい知見を得る事が多く楽しい限りです。
ただし、万葉の植物名と現代植物名と同一のものは少なく、異説が数多くあるものは有力種を充ててあります。
また、植物は毎年成長し、生存競争も絶えず行なわれています。病虫害もあるので、観察が不適切にならないように意を尽くしています。
- 註 万葉植物の研究が盛んになり、数多くの著書とともに万葉植物園も各地につくられています。
写真(万葉の森) | |
表9 万葉の森(草本類)
万葉名 | 現代名 | 万葉名 | 現代名 | ||
1 | あかね | アカネ | 53 | ぬばたま | ヒオウギ |
4 | あさがほ | キキョウ | 54 | ねつこぐさ | オキナグサ |
5 | あし | アシ | 55 | はちす | ハス |
9 | あやめ | ショウブ | 57 | はまゆふ | ハマオモト |
10 | あをな | カブ | 58 | ひえ | ノビエ |
13 | いはゐづら | スベリヒユ | 60 | ひし | ヒシ |
15 | うけら | オケラ | 62 | ひる | ノビル |
16 | うはぎ | ヨメナ | 63 | ふぢばかま | フジバカマ |
17 | うも | サトイモ | 64 | まめ | ツルマメ |
19 | おほゐぐさ | フトイ | 66 | むぐら | カナムグラ |
21 | かきつばた | カキツバタ | 68 | ももよぐさ | ツユクサ |
23 | かほばな | ヒルガオ | 69 | やまあゐ | ヤマアイ |
26 | くくみら | ニラ | 70 | やますげ | ジャノヒゲ |
28 | くそかづら | ヘクソカヅラ | 71 | ゆり | ヤマユリ |
29 | くれなゐ | ベニバナ | 72 | よもぎ | ヨモギ |
30 | こけ | コケ類の総称 | 74 | わすれぐさ | ヤブカンゾウ |
31 | こなぎ | コナギ | 75 | わらび | ワラビ |
33 | しだくさ | ノキシノブ | 78 | をみなへし | オミナヘシ |
34 | しば | チカラシバ | |||
35 | しりくさ | サンカクイ | |||
36 | すげ | カサスゲ | |||
37 | すすき | ススキ | |||
38 | すみれ | スミレ | |||
39 | せり | セリ | |||
40 | たで | ヤナギタデ | |||
41 | たまばはき | コウヤボウキ | |||
42 | つきくさ | ツユクサ | |||
43 | つぎね | ヒトリシズカ | |||
44 | つちはり | メハジキ | |||
45 | つばな | チガヤ | |||
46 | ところづら | トコロ | |||
47 | なぎ | ミズアオイ | |||
48 | なでしこ | カワラナデシコ | |||
51 | にこぐさ | ハコネシダ | 計 | 52種 |
表9つづき 万葉の森(木本類)
万葉名 | 現代名 | 万葉名 | 現代名 | ||
100 | あしび | アセビ | 151 | つげ | ツゲ |
101 | あぢさゐ | アジサイ | 152 | つた | テイカカズラ |
103 | あふち | センダン | 153 | つつじ | ヤマツツジ |
104 | あべたちばな | クネンボウ | 155 | つばき | ツバキ |
105 | いちし | エゴノキ | 156 | つまま | タブノキ |
107 | うのはな | ウツギ | 158 | つるばみ | クヌギ |
108 | うまら | ノイバラ | 159 | つるばみ | トチノキ |
109 | うめ | ウメ | 160 | とが | ツガ |
110 | え | エノキ | 161 | なし | ナシ |
111 | おみのき | モミ | 162 | なつめ | ナツメ |
112 | かし | アラカシ | 163 | なら | ミズナラ |
113 | かしは | カシワ | 164 | ねぶ | ネムノキ |
114 | かぶのき | ヌルデ | 165 | はじ | ヤマハセ |
115 | かつら | カツラ | 166 | はねず | ニワウメ |
117 | かはやなぎ | カワヤナギ | 168 | はり | ハンノキ |
121 | かへるで | カエデ類 | 169 | ひ | ヒノキ |
124 | くり | クリ | 170 | ひさぎ | アカメガシワ |
125 | ごとう | アオギリ | 171 | ふぢ | フジ |
126 | こなら | コナラ | 172 | ほほがしは | ホウノキ |
127 | このてがしは | コノテガシワ | 174 | まき | スギ |
128 | さいかち | サイカチ | 175 | まつ | マツ |
129 | さかき | サカキ | 176 | まゆみ | マユミ |
130 | さきくさ | ミツマタ | 177 | みつながしは | カクレミノ |
131 | さくら | ヤマザクラ | 178 | むろのき | ネズ |
132 | ささ | ササ類 | 179 | もむにれ | ハル(アキ)ニレ |
133 | さなかずら | サネカズラ | 180 | もも | モモ |
134 | しきみ | シキミ | 181 | やなぎ | シダレヤナギ |
135 | しひ | シイ | 182 | やまたちばな | ヤブコウジ |
136 | しらかし | シラカシ | 183 | やまたず | ニワトコ |
137 | すぎ | スギ | 184 | やまぶき | ヤマブキ |
138 | すず | スズタケ類 | 185 | ゆづるは | ユズリハ |
139 | すもも | スモモ | 200 | いはづな | テイカカヅラ |
141 | たけ | タケ類 | 212 | はぎ | ヤマハギ |
142 | たちばな | タチバナ | |||
145 | ちさ | エゴノキ | |||
146 | ちち | イヌビワ | |||
147 | ちち | イチョウ | |||
148 | つがのき | ツガ | 計 | 72種 | |
149 | つき | ケヤキ | 合計(草本類・木本類) | 124種 |
写真(万葉の森) | |
10) 楽寿の森管理計画
前述調査報告の後、平成28〜29年度にかけて、園内の現在植生を調べ、植物の種類や状況を把握し、
将来にわたり適正に楽寿園の森を適正に維持管理していくため、
「楽寿の森管理計画」(クリックして閲覧)を策定しました。
この情報に関する問い合わせ先
担当課名 楽寿園
電話番号 055-975-2570